上を向いて歩こう:悲喜こもごものスキヤキ / All Things Considered

All Thing Consirderedは、世の中の動向から音楽や芸術

娯楽情報まで取り上げる、夕方のラジオニュース番組です。

ホストはNPRのオーディ・コーニッシュほか。

今回の音声はコチラ!

1963年の夏、全米ビルボードで3週連続一位となった、日本人歌手・坂本九が歌う”Sukiyaki”。この『上を向いて歩こう』の歌詞には、戦後の復興、景気上昇による未来への希望と、1960年の安保闘争での失望が、混ざり合っていました。

1. Introduction

Ian Condry, who teaches Japanese culture at MIT, says “Sukiyaki” transcended language because it hit an emotional nerve. The song spent three weeks at the top of the Billboard charts in June 1963 and was already a huge hit in Japan before its American debut. But what most listeners in the U.S. probably didn’t realize was how it symbolized Japan’s return to the world stage.

MITで日本文化を教えるイアン・コンドリーは、”Sukiyaki”は聴く人の心の琴線に触れて、言語を超えるものだと語ります。日本で大ヒットしたこの曲はアメリカに渡り、1963年の6月、ビルボードチャートで3週連続一位となりました。しかし、この曲がいかにして日本の国際社会への復活を象徴していたか、アメリカ人のほとんどは気が付かなかったのです。

(公式サイト より引用と翻訳)

2. 戦後復興とその影

C: 1963 was when Japan was returning to the world scene after the destruction of World War II. 1964 was the Tokyo Olympics, which were right on the horizon. And Japan’s economy was expanding globally, and so in some ways, the song is a kind of interesting metaphor for that global expansion of Japan on the world scene.

コンドリー: 1963年は、日本が第二次世界大戦の荒廃を経て、国際社会に復帰をしようとしていた年でした。1964年は東京オリンピックの年でしたから、まさにその直前です。日本の経済活動は世界的に拡大しつつあり、この曲はいくつかの点で、世界に肩を並べようとしている日本のある種の興味深いメタファーになっていました。

小綺麗な出で立ちで戦後の新しい顔となった、21歳の坂本九。この曲の愛らしさに隠れているのは、悲しみと喪失の物語だとコンドリーは語ります。

C: The lyricist Rokusukay Ey was looking back actually on the failure of the protest movement in Japan.

コンドリー: 作詞家の永六輔は、この曲を通して、ある抗議活動が敗北に終わったことについて、振り返っていました。

3. 安保闘争

C: There was a virtual occupation of the Diet, which is the Japanese parliament, and student protests were happening all over – tens of thousands of people marching and chanting. And nevertheless, the government marched ahead and signed the security treaty.

コンドリー: 事実上、国会の占拠もありましたし、学生たちの抗議はいたるところで起きていました。何千人もの学生が、何十という場所で安保反対の主張を訴えながら行進しました。しかしながら、政府はそのままで突っ切るかたちで、安全保障条約を成立させたのです。

『上を向いて歩こう』が日本でリリースされたのは、安保闘争の翌年、1961年でした。

4. 上を向いて歩こう、涙がこぼれないように

♪〜 上を向いて歩こう 涙がこぼれないように 思い出す 春の日 一人ぽっちの夜

C: So what that means is walking along, looking up so that the teardrops won’t flow out of my eyes. I look back on a spring day on this lonely night.

コンドリー: この部分は、道を歩きながら、涙が目からこぼれないように、顔を上げているところです。ひとりぼっちの夜に、ある春の日のことを思い返しています。

♪〜 幸せは 雲の上に 幸せは 空の上に

C : Shiawase, a good fortune is beyond the clouds. A good fortune is beyond the sky. So I’m looking up and looking forward and imagining that good fortune in the future.

コンドリー: 「しあわせ」とは幸運のことで、幸運は雲の向こう、空の向こう側にある。だから私は顔を上げて、未来に幸せがあることを想像して、心待ちにしているんだ、と歌っています。

C: So it really is a song about the sadness of looking back but also being on the cusp of something being better in the future.

コンドリー: このように、この曲は実際のところ、過去を振り返る悲哀だけではなく、未来に向けて何かが良くなっていく、そんな変わり目にあることも歌っているのです。

戦後の復興、景気上昇による未来への希望がコインの表面だとすると、安保闘争が若者に残した政治への失望感、新安保条約で日本がまた戦争の道を歩むのではないかという不安が、コインの裏面であったと言えます。この曲は、そんな日本人の揺れ動く内面を、巧みに描いていたのかもしれません。

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